娘に、枕草子を読んでいる。
「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは…」
娘はまだ5ヶ月。
意味なんて、分かるはずがない。
でも、私は読む。
なぜなら、10年後、娘が高校生になった時、
古典の授業で「聞いたことある」と思ってほしいから。
そして、何より、私自身が古典が好きだから。
母からの百人一首、そして娘へ
私自身、母の勧めで小さい頃から百人一首を読んでいた。
高校生になって、古典の授業で在原業平の話が出た時、
「この人、誰だっけ?」と思った瞬間、
「逢う坂の関〜の人だ!」
と思い出した。
そうすると、不思議なことに、
業平のエピソードが、すっと頭に入ってくる。
全くの初めましてではなく、
「あ、知ってる人だ」という感覚。
これが、あるかないかで、
学びの楽しさが全然違う。
だから、娘にも。
10年後、娘が古典に出会った時、
「なんか、聞いたことある」
と思ってほしい。
それが、私が古典を読む理由。
4ヶ月目、何を読んでいるか
娘が4ヶ月の頃から、古典の読み聞かせを始めた。
使っているのは、
「声に出して読みたい日本語」の子供版。
この本、素晴らしい。
挿絵が多く、色もわかりやすい。
原文で書かれているが、子ども向けにレイアウトされている。
全巻買った。
読んでいるのは、
・枕草子(春はあけぼの)
・平家物語(祇園精舎の鐘の声)
・源氏物語(いづれの御時にか)
・論語(子曰く、学びて時に之を習ふ)
・漢文(国破れて山河あり、長恨歌)
私が読んでいて楽しいものを選んでいる。
竹取物語の冒頭、平家物語の冒頭、源氏物語の冒頭。
誦じられるくらいには、古典が好き。
だから、読んでいて楽しい。
娘の反応:最初 vs 今
最初は、聞いてくれるか心配だった。
0歳児に、枕草子。
難しすぎるんじゃないか?
でも、意外にも、娘はじっと聞いていた。
「声に出して読みたい日本語-子供版」は、挿絵が多い。
色もわかりやすい。
娘は、絵を見ながら、私の声を聞いている。
ただ、1ページに文字が多い(なかなかページをめくらない)と、
少し飽きている雰囲気はある。
1ヶ月経った今、
娘は、表紙を見ただけで笑うようになった。
そして、分かってきた。
娘にも、好きなページ、嫌いなページがある。
私の好みも反映させつつ、
娘が好きなページを中心に、
楽しく読んでいる。
3つの仮説
私は、3つの仮説を持っている。
【仮説①】0歳から古典を聞いていたら、高校生の時、古典が嫌いじゃなくなる?
全くの初めましてではなく、
「なんか、聞いたことある」
という感覚。
それがあれば、古典への抵抗が減るはず。
【仮説②】0歳から読んでいたら、百人一首が好きになる?
私自身、母の影響で百人一首が身近だった。
だから、百人一首が好き。
娘も、そうなってくれたら嬉しい。
【仮説③】漢文は、色々な言葉の中に隠れている
「値千金」
これ、漢文。
『春宵(しゅんしょう)/蘇軾(蘇東坡)』
「春宵一刻値千金」
でも、日本語の中で、よく使われる。
例えば、「春のうららの 隅田川」で始まる 童謡「花」
歌詞の中で「げに一刻も千金の ながめを何にたとふべき」という節がある。
漢文を知っていると、
日常の言葉が、もっと豊かになる。
そんな発見を、娘にもしてほしい。
0歳に、意味は分からない。でも。
正直、娘に意味は分かっていない。
「春はあけぼの」
娘は、春も、あけぼのも、知らない。
漢文に至っては、私も意味が全く分かっていない。
でも、それでいい。
私が楽しんで読んでいる。
それは、娘に伝わっていると思う。
そして、音、リズム、響き。
それが、娘の中に残る。
10年後、
「なんか、聞いたことある」
それだけで十分。
もし、語彙が育ったり、
和歌が読めるようになったりしたら、
それは、ボーナス。
でも、一番大事なのは、
「お母さんが楽しそうに読んでいた」
という記憶。
それが、娘の中に残ってくれたら、
それで十分。
これからも、読み続ける
これからも、読み続ける。
娘が1歳になったら、
娘が2歳になったら、
娘が10歳になったら。
反応は、どう変わるだろう。
「春はあけぼの」を、一緒に誦じる日が来るだろうか。
10年後、娘が古典の授業で、
「ママが読んでくれたやつだ!」
と思ってくれたら。
そんな日を夢見て、
今日も、枕草子を読む。
「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは…」
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